新・シニア起業時代プロジェクト 第1回フォーラム「『個力』を生かすチームワーク」

講師:斎藤ウィリアム浩幸 インテカー代表取締役社長

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「議論が苦手」「弱みを見せない」がボトムネックに

 では、なぜ日本はそのチーム力が弱いのかを考えましょう。最初のポイントは、日本人は議論を嫌がるということです。日本に来て、いろんな会社の経営会議や役員会議に出て、議論をしないのを見てなぜかなと思った。とにかくコミュニケーションがプア(貧しい)。どういうことかと言うと、言いたいことを言わない、遠慮する、上司に向かって言わない、情報をうまく伝えない、会話で言わなければいけないことを言っていない…。

 10年前はそれでも、アフター5になると「課長はばかだ」「部長はアホだ」と出ていた。なんで会議で言わないのかな、と思ってはいましたが。でも、昔はまだこのアフター5があったからコミュニケーションの出口があった良かったけど、最近はアフター5もなくなってきた。ラストチャンスもないというのが気になります。これは余談ですけど。いずれにしてもコミュニケーションがプアです。

 では、なぜコミュニケーションがプアかとじっと観察していると、意外に日本人というのはお互いを信用していないんだな、ということがわかった。何を言いたいかというと、これを言ったら「ばかにされる」「後で足を引っ張られる」「後で仕返しされる」と思う人が多い。もう一つはジェラシーとかやきもちがすごく働いていて、「これを言ったら変な風に思われる」とか言って、結局だれも何も言わないし、議論にならない。見ていてそう思いました。

 なぜそうなのかとさらに考えました。すると、みなさんが弱みや失敗を見せたくないということに気づきました。ここがキーポイントです。弱みや失敗を見せたくないというのは、非常に危ないことだと私は思います。簡単に言うと、失敗は普通で、よく起こるとさっき言いました。ところがコミュニケーションが機能していないと、失敗がだれにも知らせずにためてしまうとどんどん大きくなって、手が付けられないことになって爆発しちゃう。組織が失敗を普通だ、自然だと認めないと、みんながストレスを抱えてネガティブスパイラルになっていくと私は見ています。

 日本でよくテレビの討論番組なんかに出ると、格差をなくそうという議論になることがよくあるのですが、私はこれが不思議です。人間は生まれたときから格差はあるんですよ。私は石川遼と同じようにゴルフをしたいと思いますが、あきらめますよね。違うことしますよね。私は会計が弱いということを認めるとか、強いとこと弱いとこをはっきりさせる。それをせず、弱いところを隠すと、コミュニケーションにつながらないんです。先ほど革新的な会社は創業者2人のところが多いという話をしましたが、そのもうひとつのキーポイントは、お互いがそれぞれの弱みを認識して、それを補い、工夫するチームになって創業しているということです。日本では、自分より頭のいい人、できる人を連れてくると自分の仕事がなくなるとか言って避ける人がいる。これって互いを信用していないということですよね。

 弱みを持っていることをもっとオープンにしていかないと、日本のコミュニケーションはよくならない。これはすごいネックになっていると思います。

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斎藤ウィリアム浩幸

斎藤ウィリアム浩幸(さいとう・ウイリアム・ひろゆき)

 1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代にソフトウエア会社を設立、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年、会社をマイクロソフトに売却、インテカーを設立。日本を拠点にドバイなど世界3カ所にオフィスを持ち、有望なスタートアップ企業14社を育成中。2012年に「40歳定年制」などを提唱した国家戦略会議フロンティア分科会「繁栄のフロンティア部会」の委員を務める。